グローバルな日系体験

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第三グループ
「日本、日系コミュニティ、移住国との三者関係」


テーマ
日本、日系コミュニティ、移住国との三者関係は、次の補助カテゴリーに分けられます。(a)移民 (b)日本の影響(文化的習慣、活発化、日本と移住先本国の親類関係状況)そして、(c)移住先本国の影響(社会政治的、経済的そして政治的)

言語: 英語
司会: ロイド・イヌイ
報告者: ジェフリー・レッサー(6月24日 木曜日)
飯野 正子(6月25日 金曜日)
録音者: 同時通訳システム

参加研究者
初年度よりの参加者: 飯野正子、アメリア・モリモト、ゲリー・ムカイ
2年度よりの参加者: ジェフリー・レッサー、スティーブン・ロップ
聴講者:福川正浩 外務省移住政策課長

ロイド・イヌイによる報告書

 スティーブン・ロップ氏の研究は、日系ペルー人と日系アメリカ人のアイデンティティの形成過程をとりあげます。なかでも、若者が経済、政治参加の変化の中で、どのような選択をして行くかに焦点をあてます。コミュニティの「境界線」を決定する際、人口統計を分析するほか、氏は、血統による公式の定義と人間関係に基づく非公式の定義の両方を考察します。その他にもアイデンティティの視覚的表現 (誰が、何を表現し、それがどのように表現されるか。)「日系」という概念が変化していること、またその変化がどのように現実社会に反映されているかということも、分析します。



 ジェフリー・レッサー氏の研究は、日系ブラジル人が、ブラジル社会で他のエスニック集団と「同じかごの中にごちゃ混ぜにされた」状態のなかで、どのように自分たちのアイデンティティを作り上げていくかに焦点をあてます。氏は日系ブラジル人のとった方法が3つあると主張します。第一に「白人化」、すなわち同化政策、第二に「ハイフォン化」、すなわち二重文化の採用、第三に「国家主義化」、すなわち、日本人としてのアイデンティティを保つこと。氏の研究は、これらの発展過程をたどり、これらの異なる方法が、日系ブラジル人社会のなかでどのような競争と緊張関係を生み出してきたかを検証します。



 ゲリー・ムカイ氏は、国際日系研究プロジェクトの大多数の参加者が、研究者であるのに対し、彼の教育カリキュラム作成プロジェクトが異色であることを認めます。氏は、移民現象のケース・スタディとして日本人の西半球への移民をとりあげますが、その際、このプロジェクトに参加し、アメリカ大陸の日系人の経験を多様な視点から考察する様々な研究の成果を取り入れられたことが大いに役立ったと言います。

 アメリア・モリモト女史の研究は、アイデンティティ形成過程を社会的、経済的側面に加えて、文化的側面からも考察します。女史の研究は、一般的に行われている人口統計の収集をはるかに越えてアンケート調査の回答者が示した日本に対する見解を分析することで日系ペルー人アイデンティティの基礎でもある「思想」に初めてメスを入れます。



 飯野正子女史の研究は、戦後の「LARA」(Licensed Agencies for Relief in Asia)と呼ばれる機関の日本戦災民救済運動とそれが日系社会とその日本との関係に及ぼした影響について焦点をあてます。合衆国、カナダ、ラテンアメリカの日系アイデンティティの形成に関して敵国であったにもかかわらずいかに日本が継続的な役割を果たしたかどうかが考察されます。女史は、LARAを通して、上記の地域の日系グループに相互のつながりが出来たかどうかについても考察します。

 福川正浩氏は、日本政府の官僚で聴講者として出席されました。福川氏は、ラテンアメリカの日系コミュニティがそれぞれの国家と日本との架け橋になるために援助を惜しまないと述べそのために、日系コミュニティが具体的にどのような役割を演じられるのかに興味を示されました。

司会者(ロイド・イヌイ)の感想:
 私の本グループの討議全体から受けた印象は、日本の役割(それが実在の物にせよ、架空あるいは記憶にだけ存在するものであるにせよ、また肯定的なものであるにせよ、否定的なものであるにせよ)が異なる地域での日系アイデンティティ、行動、地位の多様性の原因として明記されなければならないということです。例えば、日系アメリカ人の中でもしばしば困難を伴った帰米者の経験は、日本で勉強してラテンアメリカに帰った日系人の経験とは根本的に異なっています。後者はしばしば日本で勉強した事によって、高いステータスを得るようです。「日本」という存在は、日系ラテンアメリカ人の生活と心により深い印象をあたえるようです。これは日系アメリカ人にはあまり見られません。このグループの課題である三者関係をとってみても、ラテンアメリカ日系人の間では、他の国の日系人にも注意が支払われているようです。これは、他の国の日系人には比較的無関心な日系アメリカ人との違いだと思います。また、単にグローバル化の結果なのかもしれませんが、ラテンアメリカの若い日系人の間では、自国の日系コミュニティ、定住国、と日本の三者関係に加えて合衆国もラテンアメリカ日系人が進出して行く可能性のある国と考えているようです。