グローバルな日系体験

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全米日系人博物館


総司会者リチャード・コーサキによる報告書


 三年間に及ぶ国際日系研究プロジェクトの主な使命は、「日系文化と日系社会に関する知識を深め、共有することにより、日系人口を含む国家間の理解を文化の壁を超えて育成すること」にあります。

 私は、1999年6月24日から26日にロサンゼルスの全米日系人博物館で開かれたコンフェレンスにおいて、この使命に向けて大きな進歩が遂げられたと思います。それは、各国から集まった参加研究者が、それぞれの国の日系コミュニティに関するいままでの研究成果を紹介し、お互いに意見を交換することができたからです。このプロジェクトにとって特に大きな成果となったのは、参加研究者の間に「親交の和」が生まれた事ではないでしょうか。この結び付きが、「国境を超えた共同研究と有意義なネットワーク」の形成に役立つ事は間違いありません。個々の研究で経済、政治、ジェンダーなど専門的な焦点が当てられていますが、それを尊重しつつ、当プロジェクトの基本的な論理体系にも関連付けて行く必要性も認識されました。



 各国独自の環境の中で育くまれた日系社会から出てきた観点を、私たちに理解させてくれるような基本的情報を収集する事が最も急を要する作業であることに疑いはありません。しかしながら、それらの情報は、共通の論理体系を通して、その共通点や相違点が明らかにされれば、より有効になるということも事実です。この様な努力は、個々の日系コミュニティの過去、現在にわたる経験に対する理解をより深めるのに役立つだけでなく、未来の日系コミュニティをより建設的に導くのにも役立つことでしょう。

 本プロジェクトから得られた情報や概念はまた、よりグローバルな移民やディアスポラを理解するのにも役立つと思います。日系だけでなく、その他多くの民族の移民が世界各国に分散していますが、それらに関する研究も数多くあります。(学者の中には、「ディアスポラの比較歴史」に興味を示す者もいます。もっとも、文化によっては「ディアスポラ」という言葉を持たないという事も認めていますが。)



 このようなグローバルなプロジェクトや論理体系に当プロジェクトが貢献できるのは確かですが、取りあえず今ここで必要なのは、北米、南米の日系人の経験に関する、信頼できる基本知識を提供することです。この度のコンフェレンスでは、日系の経験には、国によって大きな差異があることが明らかになりました。これは自民族中心主義の私たち「アメリカ人」にとっては大変な啓蒙になりました。いままで当然のこととして考えられてきた表面上の共通点は、これからもっと批判的に考察される必要があるでしょう。

 前述のとおり、今回のコンフェレンスの成功は、日系人の様々な経験に関する知識を増大し、共有出来るかどうかにかかっていますが、それに加え他にも様々な問題が提起されました。成功裏に終わる研究プロジェクトというものは、この様な問題点に鋭い分析の焦点をあてることによって、意味のある探求を可能にする努力がなされなければなりません。もちろん多くは簡単に答えのでる問題ではありません。国際日系研究プロジェクトは、現在一般社会で進行中の日系人の経験に関する知識を提供すると同時に、またグローバルなレベルでの日系人学促進を目的とする研究プロジェクトの一部としても考えられるべきだと思います。その中で我々が背負っている役割は、重要で、進歩的なものだと考えます。個々の研究者の皆さんが、このプロジェクトに参加する事によって、刺激を受け、個々の調査事項により深く探求の目を向けられるよう希望します。全米日系人博物館の資料センターにおける日系研究文献資料の充実計画、教育資料ガイドの作成、その他の資料収集を通して、当プロジェクトは世界にまたがる日系人の経験を探求するための基礎を築いているのです。