即日発表 - 2021年08月20日

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JANM

『市民13660号』を構成するアート作品を初公開する 「ミネ・オオクボのマスターピース:市民13660号のアート」展を開催


black and white illustration of a man and a woman with luggage that have tags on them which say "13660"アーティストのミネ・オオクボのグラフィック回顧録『市民13660号』が刊行されてから75周年にあたる本年、全米日系人博物館では特別展「ミネ・オオクボのマスターピース:市民13660号のアート」を8月28日〜2022年2月20日にかけて開催いたします。200枚近いイラストから成る同書は画期的な一冊であり、アメリカの強制収容所について元収容者の視点から書籍一冊にわたる分量で記された初めての刊行物でした。

本展では、このグラフィック回顧録の原画28点とそれに添えられたキャプションを展示します。当館は『市民13660号』の原画をはじめ、その他の彼女の作品をはじめとするミネ・オオクボ・コレクションの所蔵者です。ふたつ目の展示室では、オオクボが収容所で描いた数々のスケッチやスケッチブック、最終原稿の下書きなど、1946年出版の『市民13660号』のインスピレーションの元となったアート作品を紹介しています。これらの作品や関連資料が展示されるのは今回が初めてです。

「第二次世界大戦が起きる前、オオクボの未来はアメリカ人アーティストとして無限の可能性に満ち溢れているように見えました。しかし突然の強制収容を受けて、オオクボの芸術的関心は、この制約だらけの新たな生活を豊かなエネルギーで記録し、多くの作品を生み出すことに変わりました」と、当館のコレクション・マネージャーでキュレーターのクリステン・ハヤシ(博士)は話します。「収容所ではカメラが禁止されていましたが、その代わりにオオクボは何百枚ものスケッチやイラストを描き、忘れられがちな歴史の一ページをそこに記録したのです」。

1942年に「大統領令9066号」が発令されると、西海岸には立ち入り禁止区域が設けられ、その後、オオクボ一家を含む日本人と日系アメリカ人はそこから強制的に立ち退かされました。オオクボはその後に続いた激動の時代を余すところなく記録しました。オオクボは「市民13660号」でした。この番号は政府が彼女の家族に割り当てたものであり、オオクボの作品は不安定な状況に置かれたアメリカ市民権を描き出しています。

彼女が収容所で描いたスケッチには、収容所で暮らす家族が感じていた不公平さや不安に満ち溢れています。「13660」という家族番号が記された歩道に積み上げられたオオクボのスーツケースや、ユタ州のトパーズ収容所で厳しい冬の風にさらされる家族の姿なども記録されています。

ミネ・オオクボは日本から移住した両親の下、1912年、カリフォルニア州リバーサイドで生まれました。オオクボは芸術活動に専念するため、結婚はしない、彼女の言葉で言えば「他人の靴下は洗わない」と心に決めていました。カリフォルニア大学バークレー校で美術の学士号と修士号を取得した後、1938年に権威ある芸術留学奨学金を得て、パリでキュビズムのアーティスト、フェルナン・レジェに師事しました。サンフランシスコでは、公共事業促進局の連邦芸術プロジェクトの一環で壁画を描き、著名なメキシコ人アーティストのディエゴ・リベラと共に仕事をしたこともあります。

1946年に出版された『市民13660号』には198枚のイラストが掲載されており、アメリカの僻地に置かれた強制収容所での生活がありのままに描かれています。これらの作品の中で、オオクボは単なる観察者ではなく、ほとんどの絵の中にオオクボ自身が登場しています。それぞれの絵にはキャプションが添えられており、同書はグラフィック回顧録の草分けの一例でもあります。また現在ではプロテスト・アートとしても注目されています。


この展覧会についての詳細は、janm.org/ja/exhibits/mine-okubo-masterpieceをご覧ください。

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1985年の設立より、全米日系人博物館(JANM)は日系アメリカ人の経験を共有することによって、アメリカの民族的・文化的多様性への理解と認識を深めています。ロサンゼルスのダウンタウン、歴史あるリトルトーキョー地区に位置するJANMは、伝統的な博物館のカテゴリーを超えたハイブリッドな施設で、日系アメリカ人の声を伝えるとともに、あらゆる人が自分たちのヘリテージや文化を探求できる場を提供することを目指しています。1992年の一般公開以来、JANMは70展以上の展覧会を開催し、そのうち17展はアメリカのスミソニアン博物館やエリス島移民博物館をはじめ、日本や南米の主要な博物館など世界各地を巡回しました。当館についての詳細はjanm.orgをご覧いただくか、ソーシャルメディア@jamuseumでフォローしてください。

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「ミネ・オオクボのマスターピース:市民13660号のアート」
(Miné Okubo’s Masterpiece: The Art of Citizen 13660)

会期:2021年8月28日-2022年2月20日
開館時間:火曜〜日曜11am-5pm(最終入館4pm)    
場所: Japanese American National Museum(100 N. Central Ave., Los Angeles, CA 90012)
観覧料:通常の入館料に含まれます。入館料は大人16ドル、シニア、学生、17歳以下は7ドル、5歳以下と当館会員は無料です。現在、毎週木曜日は終日入館料無料です。
メディアスポンサー:羅府新報