かつて「オリエンタル」とカテゴライズされ、自らの国アメリカで、まるで外国人のように扱われていたアジア・太平洋諸島系アメリカ人。この特別展は、彼らが「アジア・太平洋諸島系アメリカ人」として政治的な意識とアイデンティティーを獲得し、人種差別的なステレオタイプをはねのけ、人権を求めて立ち上がり、失われた自らの歴史を取り戻し、新しい文化的表現を生み出してきた時代をふりかえるマルチメディア展です。
展示する映像や写真は、1970年にロサンゼルスで設立されたアジア・太平洋諸島系アメリカ人のメディアグループ「ビジュアル・コミュニケーションズ」のコレクションです。一人一人が集まり一つの共同体として力を合わせたとき、私たちは現実を変えていく力を持ちます。この展覧会が描き出すアジア・太平洋諸島系アメリカ人の歴史はその記録であり、私たちが持つ可能性を思い出させてくれるものであり、そして、いま私たちは何をすべきかと問いかけてきます。
全米日系人博物館(JANM)は、4月16日(金)から一般に再開館いたします。入館料は無料ですが、事前予約チケットが必要です。予約なしでのご入館は受け付けておりません。
「JANMは常に、地元のコミュニティや国内外からの訪問者が集い、考え、学び、祝うことのできる活気ある空間であり続けてきました。このたび当館は再開館し、私たちのミッションにとって非常に重要である、物理的なつながりを再構築する準備を整えました。この数週間、アジア系のコミュニティに対する人種差別や暴力の高まりが常に私たちの念頭にあります。とりわけ先週アトランタで起きた忌まわしく悲劇的な殺人事件を受け、心が乱れる困難でつらい日々が続いています。傷を癒し、再生の場としてJANMを提供することは、当館が今、提供できる最も重要な役割の一つだと考えています」(JANM館長兼CEO、アン・バロウズ)。
全米日系人博物館(JANM)は、アトランタで8名が犠牲になった銃乱射事件を受け、犠牲者の方々のご冥福を祈るとともに、このような殺害行為を強く非難します。
この凶悪犯罪については現在も調査中ですが、動機が何であれ、アジア系に対するヘイトクライムが急増していることから、全米のアジア系コミュニティではこの事件以前から高くなっていた恐怖感がさらに高まっています。
JANMの館長兼CEOであるアン・バロウズは「人種、宗教、性別、性的指向、その他の特徴を理由にした暴力は非難されるべきものです。この事件の動機はまだ調査中ですが、アジア系に対する人種差別の風潮は無視できません。また新型コロナウイルスの流行にアジア人を関連づける扇情的な言葉によって、昨年1年間でアジア系に対し3,800件以上ものヘイトクライムが起きています。

今週、フランクリン・ルーズベルト大統領が第二次世界大戦中の日系アメリカ人の強制収容につながった大統領令9066号を発令してから79年目の節目の日を迎えました。先祖が誰であるかというだけの理由で、コミュニティや学校、ビジネス、家から引き剥がされ、有刺鉄線の中で四年間の歳月を耐えた私たちにとって、この日は恐怖ととまどいと悲しみの記憶に満ちています。当時、私はサンノゼに暮らす少年でした。友人や近隣の人々と共に、私の家族が慣れ親しんだものから無理やり追い出され、ワイオミング州の荒涼とした強制収容所で四年間を過ごすことになった時、私の少年時代は壊滅的な打撃を受けました。約束されていたはずのアメリカの理想の欠如に直面せざるを得なかったのです。